« 現代演劇暴論2「輸入された芸術・新劇とHIPHOP」 | トップページ | □ 本当に欲しいモノ »

現代演劇暴論3「小山内薫=K DUB SHINE」

なぜ演劇を見ると恥ずかしくなるのか。その原因の9割は「役者のセリフ」にあります。
つまり「そんな奴いねーよ」です。
これは「そんな言葉でしゃべんねーよ」と「そんなしゃべり方しねーよ」と、「そもそも、そんなこと言わねーよ」の三つの問題が重なっています。
今回は「そんな言葉でしゃべんねーよ」について考えます。

モスクワで近代演劇の洗礼を受けた小山内薫は帰国後、日本近代演劇のパイオニアとなります。
伝統芸能しかなかった日本で「近代演劇」を語ることができたのは海外で本物に触れた人間だけでした。
なぜなら演劇に「お雇い外国人」は存在せず「外国人本人」に教えてもらうことはできなかったからです。
したがって演出は見よう見まね、戯曲は翻訳という形で始まります。
そして翻訳というシステムがセリフという「話し言葉」を「書き言葉」にしてしまいました。
これによって「口語」から離れた「演劇独自の言葉」が生まれます。
つまり「そんな言葉でしゃべんねーよ」です。
そして小山内薫は新劇にとって伝説的な劇場「築地小劇場」を作ります。

一方、アメリカでHIPHOPの洗礼を受けたK DUB SHINEはジャパニーズヒップホップのパイオニアとなります。
演歌しかなかった日本で「HIP HOP」を語ることができたのは海外で本物に触れた人間だけでした。
なぜならHIP HOPに「お雇い外国人」は存在せず「外国人本人」に教えてもらうことはできなかったからです。
したがって身振りは見よう見まね、歌詞は翻訳という形で始まります。
さらに「韻」の問題が発生します。英語の韻を日本語でどう表現するか、です。
しかしパイオニアK DUB SHINEは画期的な方法で日本語の韻を成立させました。
代表曲「日出ずる処」の一部を例に紹介しましょう。

日出ずる処/K DUB SHINE

時ははるか縄文の時代に訪問 伝えに降りてきた自然と共存
森羅万象に大変リスペクト 人と環境に関係見つけ
感謝の気持ち 全ての命 豊かな実り 太陽に祈り
愛する 深める親睦 つとめて品良く ふるまう民族
耕す 美しい 山を夕焼けが真っ赤に染め
午後の六時 空が告知 栄養バランスのとれた食事
和食 伝統的健康的 今じゃ 世界中でも現象的
毎年夏に みこしもかつぎ 日本の かなり熱い
深い美意識 豪華な儀式 鮮やかな四季 心は ………

赤いところが韻を踏んでいるところです。確かに日本語で大量の韻を踏んでいます。
そうK DUBは同じ音を持つ単語をつなげ文章を作ることで「日本語の韻」を実現させたのです。
しかし…えーと…正直、えーと、その、K DUBさん…何言ってんすか…。そしてダサイ…。でもそんなK DUBが大好きなんだ。
しかしながらどう見ても日本語としてはイビツであり、「そんな言葉でしゃべんねーよ」なのです
とかなんとか言っているうちにK DUB SHINEはHIP HOPにとって伝説的なバンド「キングギドラ」を作ります。

|

« 現代演劇暴論2「輸入された芸術・新劇とHIPHOP」 | トップページ | □ 本当に欲しいモノ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/187515/15121169

この記事へのトラックバック一覧です: 現代演劇暴論3「小山内薫=K DUB SHINE」:

« 現代演劇暴論2「輸入された芸術・新劇とHIPHOP」 | トップページ | □ 本当に欲しいモノ »